「古事記」は上・中・下の3巻で構成されています。上巻の最初に上表文(君主に奉る別添の書)の形で書かれた「序」によれば、奈良時代の和銅5年(西暦712年)、太安万侶(おおのやすまろ)という文官(現代の大臣級の人物)により完成したとされています。作った経緯に関しては、7世紀後半に壬申の乱で天皇になった天武天皇が「国家統一のためには歴史は一つでなければならない」と考え、稗田阿礼(ひえだのあれ)という記憶力のいい側近に自分が正しいと思う歴史を語って聞かせた。それを本にしようと思っていたのだけど、できないまま天皇は亡くなる。それから30年ほどたって稗田阿礼も60歳近い年齢になったため、元明天皇という女性天皇が、稗田阿礼が亡くなる前にその歴史を書き残さねばならないということで、書物にするように太安万侶に命じたと。